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ビジネスの常識を疑え!豊富な事例からビジネスを切る「ヤバい経営学」

Posted by Frederica Choborine on 07.2014 ビジネス 0 comments 1 trackback
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ヤバい経営学: 世界のビジネスで行われている不都合な真実
フリーク ヴァーミューレン Freek Vermeulen (原著)
本木 隆一郎 (翻訳), 山形 佳史 (翻訳)




これは単なるビジネス書ではない。
…私はX(ビジネスで成功する手法に当たる)について話すこともしないし、
何をしたらよいかを教えるつもりもない。
私がやりたいのは、ビジネスにおけるおかしな点について、
何が起きているのかを伝えることである。

動物学者がマウンテンゴリラを研究したりするように、私は経営者を調べている。
経営者の行動を分析し、経営者の世界で何が起きているのかを明らかにする。
誰が成功して、誰が成功しないのか。
そして、なぜ経営者はそんなやり方でビジネスを行っているのか。




久々に真面目な本を読んだ。
「ヤバイ」というと、「ヤバイ経済学」という以前話題になった本を思い出す人が多いかもしれないが、特に関連は無いようだ。
そちらは挫折した記憶のある私だが(若かったので…?)、本書は軽く読める本ということも意識した構成となっていて、分厚い本ながら読み応えと読みやすさのバランスがほどほどに取れている1冊になっている。


本書は冒頭で引用したとおり、ビジネスの成功例に学ぶと言う一般的な本とは異なり、その中にも潜んでいる問題点にも堂々と切り込んでいく、一種の問題提起本だ。
これを読んだからと言ってビジネスで成功できるというものでもない。
おそらく「それで?」と言いたくなる所も出てくるだろう。
問題に対する提案はあるけれど、煮え切らない所もある。
著者はイギリスのビジネススクールの人気講師だが、一方で「フワフワとした授業」と評されたその意図も確かに感じられる一冊であった。

それでも具体例が非常に面白い。
本書では導入から、梯子を登ろうとしたサルと群れ全体にも冷水を浴びせ、その後はしごを登ろうとするとどうなるかという興味深い実験で我々の興味を引く。
何も知らないサルを入れたら?そして最後には…?
このような事実に基づいた大変豊富で魅力的な具体例を用い、とっつきにくいトピックもスムーズに理解できるという塩梅だ。


本書で取り上げられる主なキーワードとトピックの内容は以下の通りだ。
 ※概要(あおり)については管理人がまとめたもの

集団慣性 イギリスの新聞インデペンデントを例に
プロスペクト理論 小さな損より大損!?皆で損すれば怖くない
アビリーンのパラドックス(多数の無知) 誰も望んでいなかったのに…
最適弁別性理論 時に危険な「個性」
選択バイアス 部分的な結果にとらわれると…
イカロスのパラドックス 成功の罠
視野狭窄Tunnel vision 万物は流転する
マーケット・ガーデン作戦 第二次大戦で最大の犠牲を生んだ背景
立場固定 引くに引けない!?大惨事にならないためには
メンタルモデルの+-  共通の視点と集団思考
クレオソート・ブッシュ 毒をまきちらして他が育たない
フレーミング効果 200人が助かる/
         3分の1の確率で600人全員生存、3分の2は全員死亡
対脅威委縮効果 コアビジネスへの集中とトップダウン
時間圧縮の不経済 チェロの練習と短期集中の非効率性
対応バイアス 成功は自分の手柄(努力)、失敗は人のせい(環境)
ストックオプションとエージェンシー理論 リスクをとるのはいいことか
パテントシャーク 特許(Patent)侵害を訴えるための特許取得者たち



途中中だるみもしたし、同じような内容に飽きてしまった部分もあった。
だから「読みだしたら止まらない」と評すほどではないし、最後まで読めたのだからつまらないというほどでもない。
しかし興味を引く何かがあるはずだとくまなく読んでいきたくなる、教養に満ちた読み応えのある一冊だった。
とにかく話題が豊富で、大変勉強になる1冊であったことは間違いない。
ビジネスの常識に踏み込み、著者は「懐疑的であれ」と訴えているのだ。
ノウハウ本などよりずっと「考える」役に立つ。
ありきたりなビジネス本に飽きてしまった人にもお薦めだ。

多少の時事知識はあった方がいいが、昔の事件など説明はしているので、特別な知識はいらないだろう。
分かりやすいが一応「経営学」の本なので、企業に関する知識、つまり会社法などの法律知識や会計知識はあったほうが読みやすいかもしれない。

企業買収(M&A)に対する著者のスタンスは目を引いた。
この話を読んで私が一番に思い浮かべたのは、インドのランバクシーを買収した第一三共だ。
「乱爆死」という素晴らしいインパクトのあるネットスラングを目にしたことがあるが、それも納得の問題発覚ぶり。
極端な事例かもしれないが、あれは明らかに買収がうまくいっていない(想定外?)ケースだろう。
第一三共の株価は買収発表前の2008年初頭で3000円台半ば、6月の発表後急落し2000円付近をウロウロ、そして相場と相まっての下落。
アベノミクスで大きく株価を戻した多くの製薬会社と比べると、未だに低迷していると言ってよいだろう。
今の所一般人からみた印象では、第一三共は買収で企業価値を落としたように見える。

以下は私が面白いと思ったトピック。
ほとんど内容喚起メモとなっているが(笑)
この中から読んでみたいと思うものが見つかれば、「買い」だ。


・MR活動は本当に効果的か
・不況時はコストより売上に
  業績不振時の売り上げの内訳?コアビジネス以外を切り詰めることの是非
・ほとんどの買収は失敗に終わる
  なぜプレミアムを払うか?もっと価値を引き出せると思っているから。

「多くの企業は自分は美しい王女であり、自分のキスがヒキガエルを王子に変えると信じている。多くのキスを目の当たりにするが、ほとんど奇跡は起こらない。」(ウォーレン・バフェット)

・成功者への過剰な賞賛と失敗した経営者への過剰な批判
 ナポレオン軍のロシアでの敗北(ボロジノの戦い)、インド・ボパール工場の大惨事(1984/12/3)
・有能だから、成功した?
  最も高いリターンを得るのはハイリスクを取るもの
・女性経営者はみんなとてもいい人
・投資会社はセイレーンのようなもの
・取締役のエリート意識と仲間外れ
・経営者の多すぎる報酬のからくり
・コア事業への集中は原因ではなく結果にすぎない
・安易な人員削減は意味がないどころか、利益率を悪化させる
・スター専門職への過大評価
  転職すると実績低下は免れない
・成果の出せない研究所、お払い箱にする必要はナシ
・イノベーションは会社の成長を遅らせる
  社会には必要だけど…早く死ぬ。ほとんど例外なく。成功するには…

「チャンスはその準備を整えた所に舞い降りる」(パスツール)

・決断しないことのメリット
・成功するにはそのままコピーすること
  地域の特性は初めは気にしない
・目に見えなかった上場のコスト
・最優先にすべきは株主か、顧客か、社員か
・チームに給与格差を付けるべきか
・2008年金融危機の原因
  組織・職務の専門化、成功による盲目、群集心理、欲深さ
・CSR企業の社会的責任に積極的に投資するべきか否か
  イイヤツは得をする
・近畿日本ツーリストやコカコーラの「名前」での躓き

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 ※ヤバでは検索できない残念仕様です。

単行本: 308ページ
出版社: 東洋経済新報社 (2013/3/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4492502467
ISBN-13: 978-4492502464


内容紹介
欧州No.1ビジネススクールの人気若手教授による初の著書。世界で行われている、経営のおかしなこと、間違っていることを痛快に解き明かす。余談たっぷりで読み口は軽いものの、内容はすべてアカデミックでの知見や、豊富な企業の調査やコンサルティングの経験から得た事実に基づいて記述されている。常識を裏切る内容の数々、読み物として面白さと新しい視点の気づき・発見の多さは『ヤバい経済学』にも匹敵する。紹介するトピックは、M&A、リストラ、成果主義、イノベーション、経営戦略、組織改革など。
内容(「BOOK」データベースより)
M&A、リストラ、成果主義、イノベーション、経営戦略、組織改革、株価、CSR、IPO…ビジネスの常識が次々に覆る。ロンドン・ビジネススクールの名物教授が学術研究のエッセンスと豊富な余談で繰り広げる痛快な経営書。


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Frederica Choborine

Author:Frederica Choborine
ミレニアル世代のいちピアノ愛好家。
音楽書以外で本は週に1~3冊位。
書評という域には達していませんが、本の感想を書こうという割に、本は大好きというわけではない(笑)
人生を豊かにするため、などのために様々なジャンルを読んでいこうと思っています。
本は結構読むほうですが、本好きではないということで読みやすさも重視。
レビューは未読者の楽しみを奪わないようネタばれ配慮、既読の方用に時々小ネタを入れています。

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